続きです。
特異基数のべきを調べるにはどうしたらいいんだ!って話でした。
これを知るために次の言葉を定義します。
定義(gimel関数)
上の関数をgimel関数という。
ちなみにgimelというのはヘブライ文字の3番目のです。
これに関して次の定理が知られています。
定理
任意の無限基数に対し次が成立する:
2行目のケースはを正則基数として取ることができるので正則基数のgimel関数です。
なのでgimel関数の値が全部わかればべきの値は全部計算できます。
正則基数のgimel関数とべきは同じなのでEastonの定理より正則基数上のgimelについては証明できることは殆どない。
なので調べるべきは特異基数のgimel関数ということになります。
ではgimel関数の値を調べるにはどうしたらいいんだという話になります。
定理
ここに、
で、はで順序が入るのでこれの濃度を知るためには次がわかれば良いです。
定義(のcofinality)
これについて次が成立する。
定理
無限基数と正則基数に対して
証明
をunboundedな部分集合でとする。
すなわち、が成立する。
よって、を任意に取るとなるが存在する。
ので、
なのではを|X|個くっつけた値です。
よって
□
系
任意の無限基数に対して、
「これよりがわかればgimel関数が計算できます。」
(訂正)は正則基数のべきなのでについて調べればよい。
しかしは清楚だとか良い性質を全く持っていないのでこの値はよくわかりません。
しかしこれの値に上限が存在するという結果が知られていて具体的に言うと次です:
定理(Shelah)
次回はどうやってを調べるのかという話をしたいです。
つづく
参考文献は次です。
U.Abraham and M.Magidor,"Cardinal Arithmetic",Handbook of Set Theory Volume2(1149-1228),Springer,2010
M.Holz and K.Steffen,E.Weitz,"Introduction to Cardinal Arithmetic",Modern Birkhaeuser Classics,Birkhause Basel,1999