定義が色々あるから明記すべきという意見を頂いたのでまとめて順序数と基数についてまとめて書きます。
これは全部ZFC上での定義です。
定義(順序数)
かつを満足する集合を順序数という.
1つ目の条件をconnective、2つ目の条件をtransitiveという。
例
は順序数である。これらを有限順序数、あるいは自然数という。
自然数全体の集合は順序数である。
はすべて順序数 。
という感じにたくさん得られる。より大きい順序数を無限順序数、で書ける順序数を後者順序数、そうでないものを極限順序数という。
これは整列集合の順序形を表現する。
定理
任意の整列集合に対しある順序数が一意に存在してが成立する。
ここでいうは順序同型ということ。
また、順序数全体の固有クラスをと書く。
固有クラスと書いたのは集合にならないから。自身は順序数の定義(connectiveとtransitive)を満たすので集合とするとになって矛盾。
で、でも似たようなことが成立する。
定理
set-likeな整列構造を持つ固有クラスに対しが成立する。
set-likeは任意のに対してが集合という条件。
(追記 2016/10/26)set-likeであるという条件を忘れていたので付け足しました。ご指摘ありがとうございます。
についてはまた順序同型の意。クラスだけど同じ風に考える。
で、これを見てもそうなのだけどはで一列に整列しているのでこれより順序数の中に不等号を与える。
順序数の大小関係はで定義される。
をとするとは整列集合。ここでざっくりとした順序数の説明が出来て要は「に関して整列構造をなす集合」って感じ。
で、順序数で大事なものは超限帰納法。
定理(超限帰納法)
ここに、 は集合論言語の論理式
これのおかげでめっちゃたくさんのことが示せる。
順序数はこんな感じ。
次は基数を定義したい。
その前に濃度を定義する。
定義(濃度)
集合の濃度とはとの間に全単射を持つ順序数で最小のものをいい、で表現する。
最小のものが常に取れるというのは順序数が整列してるから。
この定義だと常に集合に濃度が入るかどうかがわからない。
けど選択公理があると任意の集合は整列するから定理よりある順序数が存在して全単射(順序同型写像)が取れる。ので常に濃度は存在する。
けど選択公理がないと整列不可能集合があるからこれの濃度がわからんという話があるけど今は選択公理があるので気にしない。
で、基数の定義が出来る。
定義(基数)
順序数が基数であるとは濃度がそれ自身と一致する、すなわちなることを言う。
例
有限順序数はすべて基数
は基数だがは基数でない。
言い換えると自分より小さい順序数との間に全単射を持たない順序数が基数。
上の例だとより小さい順序数は有限だから明らかに全単射を持たない。けどはとの間に全単射が存在するから基数ではない。
基数全体の固有クラスをで書く。有限順序数は全部基数で有限基数を除いた無限基数全体の固有クラスをと書く。
さっきの定理からとの間に順序同型写像が存在する。
これをで書く。この対応で得られるをアレフ数という。
は順序数でもあるからこれを順序数として使うときで書く。
無限基数は3種類に分類できる。
定義
の形をする基数を後者基数という。
これはの直後にある基数。また、の直後にある後者基数をで表現する。
定義
が極限順序数の時を極限基数という。
例
は極限基数。
定義(共終数)
順序数に対してをの共終数(cofinality)という。
これが何かというとはに関して順序構造を持っているからこれに関して非有界部分集合を考えることができる。それの最小濃度が共終数。
極限順序数の非有界部分集合の上限を取るとと一致するから非有界部分集合はに収束する順序数の列。
なのではに収束する列の長さで最小のものを表す。
例
の共終数は1
後者順序数は最大元があるから共終数は1。
例
についてはが非有界部分集合になるから。
気持ちとしてはという感じ。
こういう基数は自分より小さい基数が小さい個あったときそれらから表現することができる。
けどより小さい基数は全部有限だから同じことは言えない。
なのでは少し変わった性質を持つ。
定義
なる無限基数を正則基数、そうでないものを特異基数という。
例
は正則基数
後者基数はすべて正則基数
極限順序数に対しはすべて正則基数
は特異基数
なので無限基数は次のように分類される。
参考文献