こんにちはこんばんは。
前回は無限基数の「有限項」の和、積の演算に関しては大体自明ということを示しました。
今回は無限項の演算を考えるうえで重要になるKonigの定理を紹介しようと思います。
Konigの定理は次です:
定理(Konig)
これの系で例えば次が言えます:
系1(Cantor)
さらにもっと大事な系があります。こっちがKonigの定理と呼ばれることもあります:
系2(Konig)
別の記事でという値はZFCから決定不可能という話をしているのですが、これによると例えば連続体濃度についてということが言えます。
というふうにKonigの定理はZFCでべきについてわかる数少ない事実を与えてくれる良いやつです。
それと特異基数のべきを調べるのに使うgimel関数についてもCantorの定理と同じことが言えるということがKonigの定理より示せます:
系3
Konigの定理の証明を見ていきます。
証明
任意にを取ります。これが全射でないことが示せればよいです。
各に対し、とする。
よりであるから選択公理よりで各に対しとなるようなものが存在する。
この時明らかに、よって全射でない。□
というわけで割と簡単に示せるのですが選択公理を使っています。
条件が落とせるかというと落とせないです。ここでは詳細は省きますがKonigの定理はZF上選択公理と同値な命題の1つです。
最後にさっきの系の証明を書いて終わっておきます。
系1の証明
、、とする。
Konigの定理よりである。□
系2の証明
各 を任意に取る。この時がで上に有界であればよい。
Konigの定理より、である。
はの最小上界であるからこれは上に有界である。□
系3の証明
をとなる未満の基数の列として取る。
Konigの定理より、
□
という感じで割合簡単な感じに重要な補題が示せたりします。
別の記事にも書きましたが、ZFCから正則基数のべきについて言えることは系1と系2しかないことがわかっています(Eastonの定理)。
Konigの定理はすごいなぁ、という話です。
次回があるかは知りませんがもっと具体的な基数演算の話でも書こうと思います。
ところで「魔法少女のカレイなる余生」というまんがタイムきららMAXで連載中のまんがが面白いので読んでください。